一般にはユニットバスが古くなったり、傷んでしまった場合にはユニットの交換しか選択肢がないとお思いの方は多いです。
リフォーム方法として交換だけではなく、浴室再生塗装(コーティング)という方法もあります。
なじみがない工法ですが、ホテル業界では30年近い歴史があります。今回は浴室塗装について詳しく書いていきます。
浴室塗装(コーティング)にも2種類ある
目次
新しいユニットバスはピカピカツルツルの状態です。これはFRP表面に着色層があり、そのまた上層にクリアー層があり、保護し光沢を出しています。
ユニットバスの劣化は上記の表層が経年により、はがれてしまったために起こります。ということは再度、塗装し直すことによって、新品同様に再生できます。
2種類あるというのは、新品同様に再生できる塗装と新品時に保護膜を塗布する塗装とに大きく分かれます。
浴室再生塗装(コーティング)とは
FRP専用塗料で着色されています。クリアーではありません。主にアクリルウレタン樹脂系が使われます。その特性は表面は硬度を保ちながら、弾性もあることです。
必ず温風低圧の排気タービンか高圧のコンプレッサーを使います。刷毛やローラーは絶対に使いません。
浴室塗装をすることで老朽化したユニットバスも新品同様の光沢になり蘇ります。よって再生塗装と呼ばれています。
ローコストのリフォーム工法なのでホテル業界でよく使われています。これは定期的(3~5年ほど)に行われているのでいつもきれいな状態を保っています。
ホテルの場合は機能面よりもきれいさが生命線ですので、ローコストの浴室再生塗装が向いています。
浴室保護塗装(コーティング)とは
浴室コーティングと検索するとたくさん出てくるのがこちらのタイプです。
汚れやカビからお風呂を保護する目的です。廉価版の方の多くはフッ素系樹脂塗料です。
もちろんクリアーで透明なので汚れは隠せませんし、劣化のひどいお風呂には向きません。汚れがある部分を研磨したりして落とそうとしますが、」その部分だけ色が変わってしまします。
あくまでも新品かそれに近い状態での使用をお勧めします。DIYでもできそうですが、注意しなくてはいけないのは、ガラス系のコーティング剤です。表面の強度はあるのですが、塗目が出やすいという施工面での難しさがあります。フッ素系がお手軽です。
このように浴室塗装は大きく分けて2種類あるのですが、用途にあわせて使い分けてください。ホテル業界でも高級ホテルはべーシン(洗面台の洗面ボール)などや洗面台の天板は陶器や大理石でできているので浴室再生塗装はできないために浴室保護塗装も多く採用されています。
浴室再生塗装とユニットバス交換の比較
価格や工期について比べてみます。浴室保護塗装はリフォーム目的ではないので省略します。
価格比較
標準的な1216サイズの賃貸マンション向けのユニットバスやバスタブ交換の相場を入れております。
浴室再生塗装 | 交換(製品代と施工費) | |
ユニットバス全体 | 15万~20万円 | 50万~80万円 |
浴槽 | 8万~12万円 | 8万~12万円 |
壁全面 | 9万~13万円 | 15~30万円 |
ユニットバス交換の価格はユニットバスのグレードによってかなり変わってきますが、目安はマンション用の入れ替えを目安にしています。同じサイズの交換が前提です。
施工期間の比較
価格の面では浴室再生塗装が圧倒的に安く経済的な価格ですが、工期の点ではどうでしょうか?
浴室再生塗装 | 交換 | |
ユニットバス全体 | 2日 | 3日から4日 |
浴槽 | 2日 | 1日 |
壁全面 | 2日 | 1日 |
浴室再生塗装は傷んでいないユニットバスを前提にしています。下地が傷んでいる場合は補修に余分に1~2日かかります。
浴槽の重度の痛み(亀裂や大きな欠損やFRP自体が経年劣化で傷んでいる場合)でガラス繊維で補強し、樹脂成型をする場合はさらに2日以上かかります。
標準的な工期の場合ですとユニットバスの交換もに日数的にはあまり変わりません。1日の違いをどう見るかだけです。逆転して変わるのは壁や浴槽交換の場合です。
逆に交換の方が1日で済みます。ただ、緊急を要する場合は塗装はすぐに対処できますが、浴槽や壁の場合は材料発注から納品まで1~2週間かかることも多々あります。
続いて大事な点のメリットとデメリットについて説明します。
浴室再生塗装のメリット・デメリットについて
良い点ばかり注目しましたが専門業者の見地だけではなく、発注者側の目線でも検証してみます。
メリット
- 低価格で新品同様になる
- 塗装なので色を変えれる
- 工期が短い場合もある
- すぐに着工できる
浴室再生塗装(コーティング)の最大の売りは低コストということです。もちろん、専用塗料と熟練の技がいるので一般の塗装の㎡単価よりは断然に高いです。
ユニットバスの劣化が進んで変色、褪色している場合でもクリアーではなく着色できるので黄ばんだアイボリー系の色ももっとホワイトに近い色目にできます。
夏場でシャワー等を使いたい場合も塗装は基本1日目の夕方にかけて行いますので、2日目の夜には使用可能です。(ユニットバスの接合部の目地のコーキングを最終に打ち直し、それが完全に乾いた後)
前記にも書きましたが施工会社が手一杯を除いては材料の手配などはなく、ほぼ待つことなく施工は可能ですが、平均して1週間くらいは着工までにかかります。(手持ち現場があるため)
次にデメリットも上げてみます。
デメリット
- 機能面は変わらない
- 匂いに敏感な方は向かない
- 痛みが激しい場合は施工費も上がる
- 良い専門業者を見つけるのが困難
見た目は本当に新品同様にツルツルピカピカにはなりますが、元のユニットバスの機能を引き継ぎますので、グレードアップにはなりません。
サーモバスやカラリ床を望むのであればユニットバスの交換の一択です。
浴室専用塗料は塗料のFRPへの食いつきと強度のを保つために2液性のアクリルウレタン樹脂塗料です。これは有機溶剤でしか解けませんので揮発臭があります。
匂いは個人差がありますので一概には言えません。当社も分譲マンションでも施工しておりますが苦情等はありませんが、(もちろん、発注側の奥様や旦那様には揮発臭のことは最初に言っております。)大きなデメリットに入ると思われます。
次の「痛みの激しい場合は施工費も上がる」は浴槽の痛みが激しく、また亀裂等がある場合はわれわれ専門業者は必ず樹脂ライニングという補修方法をとります。
知識不足や悪意で安くしたい業者はパテ補修だけで済ませます。価格は前者が6万~10万円アップします。しかし、強度も増すので安心して長期間使用できます。
パテだけだと最初の見積もりも安く、受注できても後々、亀裂が復活します。浴室塗装は完成後すぐには良し悪しはわからないのも問題点です。
横道にそれましたがユニットバスには壁が塩ビ鋼板を使っている場合に、サビが出る場合が多々あります。その場合に浴槽にも亀裂等があった場合は基本の価格に補修費用を加算していくと30万円を超える場合もあります。
こんな場合はユニットバスへの交換がお勧めです。予算は増えますが、アップグレードする機能を考えればお得な選択と思います。
先ほども少し触れましたが、良い専門業者だけでなく、浴室再生塗装の職方や業者は零細で見つけるのは少しだけ困難です。
今はネットがあり、広告も出している業者もいるので比較的探しやすくなっています。しかし、都心部には比較的に多くいても地方には少ないのが現状です。
一番難しいのは、製品を売るのではなく、技術を売るので職方の技量にばらつきが出やすいことです。その専門業者が直営社員と外注班で運営している場合が大半です。
直営社員の手が良くて、外注班の一部が手が悪いなんて事は起こりえます。その逆もあります。この点が一番難しく、それぞれの会社の管理の手腕にかかってきます。
浴室専門塗装業者の良し悪しについても後日書かせてもらいます。同業者の目からですので辛口になります。自社の反省点も踏まえてになります。お楽しみに!
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