UR×京都女子大コラボリノベーション住宅はここから始まった

洛西ニュータウンUR京都女子大コラボレーションプロジェクト

2012年から団地再生をテーマにUR都市再生機構は次々と新しい発想のリノベーションを行ってきましたが、京都の洛西ニュータウンで2014年に募集した京都女子大の現役の生徒とのコラボがあまりにも斬新で感心したので紹介します。

このプロジェクトの背景を読む

昭和22年、日本で初めて公営住宅が東京の高輪にできて以来六十有余年が過ぎ、暮らしの多様化、画一的な賃貸の古い間取りでは収まりきれないニーズの多様性が背景にあります。

日本住宅公団(現UR都市機構)では昭和26年より戦災による住宅不足を補うために、日本各地で建設しました。

その後に標準の間取りとなった「55型」キッチン・ダイニング+2つの寝室による2DK(寝食分離型)も現代にマッチしない、古臭いものとなりました。

そこでUR都市機構は平成24年より老朽団地を中心に「団地再生プロジェクト」をスタートさせたわけです。

MUJI×URのコラボプロジェクトに始まり、暮粋(くら・しっく)等、様々なリノベーション物件がUR賃貸に登場する。

そして、ついに若い女性の視点から団地や住まいを見つめ、自由で個性豊かなアイデアを盛り込んだリノベーションで団地を再生させるプロジェクトの登場です。

洛西ニュータウンを選んだ理由は

京都中心部から10㎞しか離れず昭和51年入居開始から6団地3052戸を擁する大団地。保育園、幼稚園も多く存在し、複合施設や区役所の支所もあり、徒歩10分でスーパーに買い物に行ける立地が長所。

しかしながら団塊の世代が多く入居していたために高齢化と若年層の減少によりUR賃貸だけでなく、京都府営、市営住宅も空き家率が増えている。

洛西ニュータウンの現状の課題

  • 若年層の流出により、人口の減少
  • 少子高齢化が進んでいる
  • 世帯数も減少傾向に転じている
  • UR・府営・市営賃貸住宅の老朽化が進み空き家が増加
  • ニュータウン内の小学校の生徒数が減っている

その中で平成18年に「まちづくりビジョン」が策定され、住民主体の取り組みやUR都市機構・NPO・民間企業による取り組みも進められてきました。

京都女子大に白羽の矢がたったのは2012年の民間プロジェクトのリノベーションコンペでの実績です。

プロジェクトは京都女子大学 家政学部生活造形学科の井上えり子准教授の指導のもとにスタートしました。

UR賃貸もその実績に目を付けました。

女子大生による設計コンペ

コンペとは言え、学生にやらせてみるという大胆な発想はUR都市機構としても最初の取り組みではないでしょうか! 女子大生によって練られたコンセプトも面白いし、的を得ています。それは。

若い世代にも受け入れられるこれからの団地

若い女性の視点と学生ならではの自由な発想で団地の未来を考えたい

間取りの改良だけでなく、洗面台やタオル掛けなどの「おしゃれ製品」

壁紙や飾り棚などのアクセント・取っ手などへの気配り

これからの団地再生には若い女性の視点から団地や住まい・子育てに至るまで自由で個性豊かなアイデアが絶対に必要です。

その意味でもこのプロジェクトが成功するか否かは今後のUR都市機構をはじめ公営住宅の団地再生の一つの試金石になったと思われます。

プロジェクトスタート

京都女子大の井上えり子准教授の監修のもと、プロジェクトはスタートします。2年にわたる長い道のりでした。

このプロジェクトへの井上准教授のコメントです。

団地は、現在の若者にとっては、「昭和っぽい」という言葉で表現される、ちょっと古めかしい存在になっています。

けれども実際に訪れ、その緑の多さやゆったりした共用空間を体感してみると、時間を積み重ねたものの良さがわかります。町家と同様、いったん失えば二度と新しくはつくれないような貴重な住環境です。

ところで、リノベーションという手法は、団地の良さを残しつつ、内部は新しくできるという良さがあります。急激な変化を望まない京都には、向いている手法とも言えます。

すでにちょっと歴史めいた感のある「団地」という空間に、学生たちが挿入した新しい空間のアクセントをお楽しみください。

コンペまでの長い道のり

プロジェクトを開始してからの13か月の京都女子大生の足どりをタイムラインにしました。

H24.12.5
団地見学会
1~3回生40名でコンペ対象の洛西ニュータウンの境谷東・竹の里の2団地とUR西日本支社との企画の観月橋・暮粋の香里団地を見学
H24.12.25
洛西見学会
前回は住戸内を詳しく見ることが出来なかったので、ゆっくりと今後の図面つくりに向けて採寸
H25.02.04
団地見学会
MUJI×URの新千里西町・DIYの箕面粟生団地を30名で見学
H25.04.04
コンペ説明会
学生40名でコンペの仕様の説明を受ける
H25.05.08~05.22
相談会
コンペ説明会だけでは解らないので相談会を開催
H25.06.26
作品発表会
境谷東10作品・竹の里9作品発表される
H2507.10
当選作発表
特別賞5件・作品賞6件発表される
H25.07.10
施工業者への説明会
施工業者(株式会社日本総合住生活)への説明を行う
H25.09.08 09.20 09.28
住戸でのプラン調整
延べ3日間で不要な部分を撤去した8戸の住宅で学生と業者の打ち合わせ
H25.09~10
施工
プランと部材のギャップに苦労しながらも施工完了
H25.11
展示用備品調整
完成した住戸内に照明や小物類を配置 3住戸は さらにDIYも
H25.12.06
京女向け内覧会
設計者、一般学生、先生、関係者50名で内覧会
H25.12.13
メディア向け内覧会
メディア9社を招待して内覧会
H26.01 18 19
プレ内覧
本募集の2日前に110組を招待して内覧会

実際にURの部屋になったおもしろすぎるアイデア

受賞作品の中から実際に僕が絶賛のアイデアの作品と実際の施工後の紹介をしたいと思います。

洛西ニュウータウンstyle2013コンペ学長賞「らしく、くらす」が超絶おもしろい

らしく くらすの平面プラン

出典 UR都市機構

まずは、そのコンセプトから紹介です。

室内を貫く土間、自分好みに描ける水色の黒板壁など、趣味を暮らしの中心にすることで、あなたらしく住むことを楽しめる空間を作りました。

設計 上条祐里菜・蜂谷華穂

境谷東18-103

コンペ作品はどの作品も素晴らしいのですが、第一印象でこの作品が群を抜いていました。結果もその通りで最優秀の学長賞受賞作品です。民間のオーナー様のあなたも参考にされると面白いです。

選考理由のコメントは「土間、自由な壁など、学生らしく元気ある提案。趣味やファッションなど、住むことの新たな楽しさ・可能性が表現されている点を高く評価。」となっています。

学生らしく元気はわかりますが、室内を貫く土間には非凡な才能を感じさせます。

実際の施工後の写真です。

コンペ最優秀賞らしく くらすの内装写真

出典 UR都市機構

らしく くらすのリビングの写真

出典 UR都市機構

洛西ニュータウンstyle2013コンペ受賞作品紹介

実際にモデルルーム(実際の募集住戸)になったのは8作品、8部屋です。

無限のハコ

コンペ受賞作の無限の箱のキッチン内装写真

出典 UR都市機構

コンペ受賞作品の無限の箱のダイニングの写真

出典 UR都市機構

魅せる、味せる、満ちる

受賞作品の魅せる、味せる、満ちるのリビングの写真

出典 UR都市機構

魅せる、味せる、満ちるの内装写真

出典 UR都市機構

アトリエde境谷東

アトリエde境谷東の内装写真

出典 UR都市機構

アトリエde境谷東の和室の写真

出典 UR都市機構

shop 「my house」

受賞作品のshop 『my house』のリビングの写真

出典 UR都市機構

shop 『my house』の玄関の写真

出典 UR都市機構

視える、魅せる、見つける

コンペ受賞作品の視える、魅せる、見つけるのリビングMの写真

出典 UR都市機構

視える、魅せる、見つけるのトイレの内装写真

出典UR都市機構

open & close

open-closeのリビングの写真

出典 UR都市機構

open closeの居室の写真

出典 UR都市機構

One Step

受賞作品one-stepのリビングの写真

出典 UR都市機構

コンペ受賞作品one-stepの居室の写真

出典 UR都市機構

学生が制作したストリーブック2013PDF版

洛西ニュータウン 京都女子大×URのコラボリノベーションの現在

2015のコンペ受賞作品

2017のコンペ受賞作品

2014年から洛西ニュータウンのリノベーション物件は今も続いています。数々の面白いリノベーション物件に挑戦しているUR都市機構は今後も目が離せません。

民間のマンションもありきたりではなく、何か入居者に訴えるものが無ければいけませんし、入居者のターゲットを絞って機能的なお部屋か内装を魅せるものにしないと大家さんも生き残れない時代が近いのかもしれません。

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